ヘルペスは、一度感染するとウイルスを体の中から追い出すことができないため、再発することが多い病気です。ならば、ヘルペスウイルスへの感染を予防することはできるのでしょうか。また、ヘルペスの再発を防ぐにはどうすればいいのでしょうか。ここでは、ヘルペスの予防対策について詳しくご紹介します。
目次
ヘルペスの予防接種は存在するのか?
水ぶくれや痛みといった症状を引き起こす、ヘルペス。
この病気は、ヘルペスウイルスに感染することによって発症します。また、一度ヘルペスウイルスに感染すると、現代医学ではこれを体内から完全に追い出すことができません。
そのためヘルペスを予防するには、ヘルペスウイルスへの感染を予防する必要があります。では、ヘルペスウイルスは、予防接種(ワクチン)によって防ぐことができるのでしょうか。
例えば、同じヘルペスウイルスに感染することで発症する水疱瘡に関しては有効なワクチンが開発されているため、「ヘルペスもワクチンで予防できるのではないか」と考える方もいらっしゃるのではないかと思います。
ヘルペスの予防接種は存在しない
2017年現在、残念ながらヘルペスに対して有効な予防接種は存在しません。
というのもヘルペスウイルスには、現在わかっているだけで8種類の型があります。そして口唇ヘルペスは単純ヘルペスウイルスⅠ型、性器ヘルペスは単純ヘルペスⅡ型が原因となって発症するところ、既にワクチンが開発されている水疱瘡の原因となるヘルペスウイルスとこれら2種類のヘルペスウイルスとは、その型が異なるのです。
そのため水疱瘡の予防接種をしたとしても、ヘルペスを予防することはできません。ヘルペスのワクチンは現在開発段階ということですので、実用化されるまで待つしかなさそうですね。
ヘルペスウイルスへの感染を予防するための対策
ワクチンによる予防ができないヘルペスですが、その原因となるウイルスへの感染を予防する方法がないわけではありません。下記の対策はヘルペスウイルス感染の予防に効果的ですので、家族や恋人など接触する機会が多い方の中にヘルペスウイルス感染者がいる方は実践してみてください。
症状が出ている人との接触を避ける
口唇ヘルペスや性器ヘルペスは、その原因となるウイルスに接触することによって感染します。そのため家族や恋人がヘルペスを発症している場合は以下のような対策をして、ウイルスへの接触を予防しましょう。
・患部に直接触らないようにする
・患部を触ってしまった場合は、すぐに洗い流す
・症状が出ているときは、タオルや食器を共有しない
・症状が出ているときは、キスや性行為(オーラルセックスを含む)をしない
ヘルペスの水ぶくれの中には、大量のウイルスが含まれています。そのためヘルペスの症状が出てきた場合は水ぶくれを破らないようにし、適切な対処・治療をして早期回復を目指しましょう。
帝王切開によって赤ちゃんへの感染を予防
妊娠している方が単純ヘルペスウイルスに感染している場合、出産時にウイルスが赤ちゃんに感染してしまう(母子感染)リスクがあります。赤ちゃんにヘルペスウイルスが感染すると、脳炎を起こしたり死に至ったりとかなり深刻な事態に陥る可能性があるため、症状発症時は帝王切開による出産をすることになります。
帝王切開ならば母子感染をしっかり予防することができますので、安心して出産に臨めます。また出産後は体力が低下してヘルペスの症状が出やすくなるため、赤ちゃんを別室に移動させたり、授乳させないようにしたりする医療機関もあります。
ヘルペスの再発を予防するための対策
どんなに気をつけていても、ヘルペスウイルスに感染してしまうことはあります。そしてヘルペスウイルスに感染してしまった場合、これを体内から完全になくすことができないため、多くの方が再発に悩まされることになります。
ヘルペスは免疫力が低下したときに再発することが多い病気ですので、以下のような対策をして、再発を予防しましょう。
・ビタミン類やたんぱく質を積極的に摂取する
・適度な運動をする
・十分な睡眠をとり、体をしっかり休める
・ストレスを溜めない
・タバコの量を減らす、あるいは、禁煙する
再発抑制療法も検討してみよう
1年に6回以上再発を繰り返す場合、あるいは、再発した場合の症状がかなり重篤である場合、内服薬を使った「再発抑制療法」が効果的です。この治療法ではヘルペスウイルスの増殖を抑制する作用がある薬を服用することで、ヘルペスの再発を予防していくのです。
ヘルペスは自分が辛いだけでなく、大切な恋人や家族に感染させてしまう可能性がある病気です。そのため頻繁に再発を繰り返しているという方は、周囲の人への感染を予防するためにも、再発抑制療法を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
現在、ヘルペスに対して有効な予防接種は存在しません。ヘルペスは接触感染する病気ですので、症状が出ている部分には直接触れないようにするなど、ウイルスとの接触を可能か限り避けることで、感染を予防することができます。